陶芸作家・余宮隆さんインタビュー(全3回)

第3回 料理とうつわの関係、陶芸家としてのこれから


陶芸家・余宮隆さんが歩んできた道のりとその器に込めてきた思いを、自身の言葉で紐解いていく全3回のインタビュー。最終回となる今回は、日々の食卓や料理人との対話を通して見えてきた、料理とうつわの関係性。そして、その先に思い描くこれからのものづくりとは。器が暮らしや食とどう寄り添っていくのか、そして余宮さんが今後目指していく景色について、お話を伺います。


盛り付けるだけで違う世界に連れて
行ってくれるような、
気分が高揚する“うつわ” を作りたい

釣った瞬間からどう美味しく食べるかを考えるほど、魚料理には人一倍こだわりがある余宮さん。お子さんはもとより、3人のお孫さんも余宮さんが作る魚料理が大好きなんだとか。

ーーーインスタグラムに美味しそうな料理をたくさんアップするなど、料理もお上手な余宮さん。料理とうつわの関係について教えてください。

実家が飲食店を営んでいたこともありますが、一番はやっぱり師匠でしょうね。中里先生って毎日料理を作るんですよ。だから僕もアシスタントとしていつも厨房に立っていました。有名な寿司屋の板前さんなど料理人もしょっちゅう遊びに来ていたので彼らの仕事を覗くことも出来たし、”うつわ”選びから盛り付けまで、全て弟子がしていたので”うつわ”と料理のバランスなども学ばせてもらいました。いま思うと、陶芸というより料理屋の修行みたいでしたね(笑)。

料理を乗せるうえで大切な”うつわ”の役割は、「使い手をいかに高揚させられるか」じゃないでしょうか。美味しく見せるだけなら既製品でも良いわけで、上手に盛り付ければそれなりに見えると思うんです。でも、あえて作家の”うつわ”を使うのは、やっぱり気分を上げたいから!だから、どうしたら気分が上がるか?は常に考えています。料理を盛り付けるだけで違う世界に連れて行ってくれる、非日常感を与えてくれる、そんな”うつわ”を作り続けたいですね。


ゆっくり丁寧に、今までにない作品を
作り上げていきたい

ーーーこれからどんな”うつわ”を作っていきたいか、ビジョンを教えてください。

もう子どもが全員巣立ったのでアクセクすることなく、いまは時間を決めてゆったり作っています。それこそ昔は陶芸が盛んな産地に修行に行きたいと思ったこともありましたが、やっぱり天草の居心地が一番良い。これからはひとつひとつ丁寧に、納得がいくまで何回でも釜に入れて、今までに見たことのない作品を作り上げたいと思っています。


(プロフィール)
余宮隆(よみやたかし)1972年生まれ。熊本県天草市出身。唐津の「隆太釜」で中里隆氏に師事。その後、「丸尾焼」で8年の修行を経て独立。2002年には天草本町に「朝虹窯」として工房と窯を築き、現在は天草市内にギャラリーもオープン。
※天草の工房の見学はお断りさせていただいています。